SDGs経営で新規事業を創ろう 第4章:WHYを中心に事業を考える
こちらは前回の記事の続きです。前回の記事をご覧いただいてからお読みいただくと、さらに理解が深まります。
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第4章:WHYを中心に事業を考える
事業の核となる”WHY”の追求
SDGsで ビジネスを考える場合、 自分が心からやりたいと思うことを ビジネスにするべきです。
そのためには 私はなぜ、この仕事をしていたいのか、「WHY」を問うことから始めるのがお勧めです。
「私は得意なシステム開発で困っている高齢者を助けたい」「汚れた海を未来の子供たちに残すのは嫌だから海を汚さないビジネスを考えたい」など、 あなたの 「WHY」をとことん突き詰め、ビジネスアイデアを考えてみましょう。
それはほとんどの人にとって、実現は難しいだろうと感じられる夢物語のようなものかもしれません。
100人に話して100人が反対するようなアイデアでも構いません。自分が心からそれをやりたいということを突き詰めることが大事です。
この”WHY“は、単に事業を行う理由や動機を示すものではく、組織の存在意義、その根本的な目的や価値観にもつながります。
それゆえ、SDGs経営を目指す中で、この”WHY”の明確化は非常に重要なのです。
理論の背景 シモン・シネックの”Start with Why”
シモン・シネックの著書”Start with Why”では、組織やリーダーが成功するための原則として”WHY”の重要性を伝えています。
シネックは、成功する組織やリーダーは共通して「なぜ」その事業を行っているのかを明確にしていると語っています。
彼の提唱する”ゴールデンサークルモデル”は、”WHY(なぜ)”、”HOW(どのように)”、”WHAT(何を)”という3つの要素からなり、最も核心となるのは”WHY”です。
この”WHY”を明確にすることで、組織の内外の人々が共感し、一体感を持って取り組むことができます。
実践のステップ ミッション、ビジョンの再定義とSDGsの結びつき
- ①ミッションの再確認
- まず、組織のミッションを再確認します。このミッションが、組織の真の”WHY”を示しているかを検証します。
- ②ビジョンの再定義
- ミッションに基づき、具体的に未来に何を成し遂げたいのか、ビジョンとして明確にします。
- ③SDGsとの連携
- ここで、ミッションやビジョンがSDGsのどの目標と関連しているのかを明確にします。
SDGsの17の目標の中から、組織の”WHY”と直結するものを選び、具体的な取り組みを考えます。
- ④組織全体への浸透
- ミッション、ビジョン、SDGsとの連携を組織全体に浸透させるため、教育やコミュニケーションの取り組みを強化します。
これにより、組織の一人ひとりが”WHY”を共有し、日々の業務に活かすことが可能になります。
“WHY”の明確化は、SDGs経営を実現するための基盤となります。組織の存在意義を共有し、それを基にした具体的な行動や取り組みが、持続可能な未来を作り出す原動力となるのです。
ジョブ理論を活用し、持続可能なビジネスを築く
持続可能な開発目標(SDGs)が世界的に重要視される中、企業の経営者や起業家たちは、これらの目標をビジネスにどのように組み込むかを真剣に考えています。
その中で、”ジョブ理論“を理解し活用することが、有効だと言われています。
ジョブ理論とは、クレイトン・クリステンセン教授によって提唱された理論で、消費者がある商品やサービスを「雇う」理由、すなわちその商品やサービスが果たす役割や「仕事」を明確にするものです。
この理論の核心は、消費者が商品やサービスを単に購入するのではなく、特定の「ジョブ(仕事)」を達成するためにそれを「雇う」という考え方にあります。
社会課題とジョブを結びつける
SDGsが提唱する17の目標は、まさに私たちの社会が抱える多くの課題を指摘しています。
この課題解決を目指す中で、ジョブ理論を適用すると、どのような新しいビジネスチャンスが生まれるのでしょうか。
例えば、”クリーンな水と衛生”(Goal 6)を目指す課題。
地域の住民が安全な飲料水を手に入れるための「ジョブ」を考えると、新しい浄水技術や衛生教育の普及など、具体的なビジネスモデルのアイデアが浮かび上がってきます。
このように、社会的な課題やニーズを「ジョブ」として捉えることで、それを満たすための新しい商品やサービスの可能性が広がるのです。
そして、その商品やサービスが実際に社会に受け入れられるかどうかは、それが住民の「ジョブ」をどれだけうまく解決できるかにかかっています。
SDGsを真剣に取り組む企業や組織にとって、ジョブ理論は非常に有効なフレームワークと言えるでしょう。
社会の課題を「ジョブ」として捉え、その「ジョブ」を解決する商品やサービスを提供することで、持続可能で価値あるビジネスを築くことができます。
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