SDGs経営で新規事業を創ろう 第2章:未来を描くバックキャスト手法
こちらは前回の記事の続きです。前回の記事をご覧いただいてからお読みいただくと、さらに理解が深まります。
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第2章 未来を描くバックキャスト手法
未来志向のバックキャストでSDGs達成を実現
解決すべき方法を見つける場合のもう一つの手が未来から逆算して考える方法です。
SDGsが達成された世界を想像してそこに向かって、自分がどう進んでいくかということを考えてみましょう。
多くの組織が目標設定を行う際、現状からの先行きを予測するフォアキャスト手法を用いるのが一般的です。
しかし、SDGsのような大規模で長期的な目標に対しては、バックキャスト手法が効果的です。
未来の理想的な状態を先に描き、そこから現在に向かって戦略を逆算するこの方法は、大胆なイノベーションや変革を実現するための道標となります。
バックキャストは、未来の望ましい状態を先に定義し、その未来から現在へと逆算して戦略やアクションプランを策定するアプローチです。
これにより、目標達成のための具体的な道のりや、必要なリソース、障壁となる要因を明確にすることができます。
SDGsとバックキャストのシナジー効果は絶大です。
SDGsの目標は2030年を視野に入れたものであり、その実現のためにはバックキャストが適しています。
特定のゴールを達成するための理想的な未来を描き、そこから現在を見据えることで、必要な取り組みや課題をより具体的に捉えることができます。
未来から逆算して、SDGsビジネスのアイデアを見つける方法
持続可能な開発目標(SDGs)は、多くの企業がビジネスモデルの構築や改善に用いているガイドラインです。
これからのビジネスチャンスは、SDGsの17ゴールと169のターゲットに隠れています。
未来から逆算する、いわゆる「バックキャスト」手法を用いて、SDGsが達成された未来を想像し、そこにどう繋がるかを考えてみましょう。
バックキャストのステップ
- STEP1:未来のビジョンを描く
- まずは、SDGsが達成された未来を想像します。このビジョンは具体的であるほどよいです。
一例として、プラスチック製品がなくなり、全てがリサイクル可能な材料で作られた世界を想像してみてください。
- STEP2:過程を逆算する
- 次に、その未来に到達するために何が必要かを逆算します。
プラスチック製品がなくなるとしたら、代わりに何が使用されるのか、それにはどのような技術やサービスが必要なのかを考えます。
- STEP3:ビジネスチャンスを見つける
- この逆算の過程で、新しいビジネスチャンスが見えてくるはずです。
例えば、プラスチック代替の新素材の開発や、それを用いた製品・サービス、またそのリサイクルシステムなど、多くのマーケットが考えられます。
例えば、以下のようなビジネスチャンスの発見につながるでしょう。
新素材の開発
プラスチックに代わる環境に優しい素材の研究・開発。
供給チェーンの再構築
新素材を効率よく生産、供給する新しいサプライチェーンの設計。
消費者啓発
新素材の製品への移行を促すマーケティングや教育プログラム。
リサイクルビジネス
新素材の製品が使われるようになった後、効率的なリサイクルを実現するビジネス。
未来から逆算するバックキャスト手法は、SDGsビジネスのアイデア発見に非常に有効です。
未来のビジョンを明確にし、その達成に必要なステップを逆算することで、数多くのビジネスチャンスを探ることができます。
SDGsが目指す持続可能な世界は、多くのビジネスが参入し、イノベーションを起こす大きなフィールドです。
企業のバックキャストの取り組み具体例
A社は、2050年を目指して、完全に再生可能エネルギーを使う企業を目指しています。
同社は、このビジョンを明確にし、現状のエネルギー消費とのギャップを特定。
続いて、各年度ごとの再生可能エネルギーの導入目標を設定し、具体的な施策や取り組みを計画しました。
B社は、製品の100%リサイクルを2040年に実現することを目指しています。
バックキャスト手法を用いて、そのための具体的なリサイクル技術の開発計画や、サプライチェーンの改革計画を策定しました。
バックキャスト手法は、企業がSDGsなどの長期的な目標達成に向けて、効果的な戦略と行動計画を策定するための強力なツールです。
未来を先に見据え、その理想の未来に向かって逆算することで、持続可能な未来を実現するための道筋を明確にすることができます。
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